21世紀の最初の年を迎え、おめでとうございます。
 私たちの学会の前身である「第1回の経済学教育をめぐる研究討論集会」を北海道大学で開いたのが、1981年の10月でした。それから今年でちょうど20周年になります。『経済学教育』20号の編集も、鋭意進行中です。経済学教育の発展のために、今年もどうぞよろしくお願いします。

ニューズレターの発刊に思う

代表幹事 桂木健次

 国立学校等の独立行政法人化への反対に取り組んでいる「全大協」のメーリングリストにも、CCテレビ(広島)の「週刊オイコノミスト」(2月10日放送分)が放映した広島大学「ベンチャー・ビジネス・ラボラトリー」のことが紹介されている。それは、今や大学の役目は、「学問を教えるだけ」ではなく、独自の研究開発を通じて学生に会社を設立させようという試みの件である。いわゆる"学生起業家"の育成である。この1年で、広大発のベンチャー企業2社が誕生し、これらの会社を通じて、大学のもつ技術やノウハウがビジネスとして認められればと言うのである。
 このことが良いことかどうかはさておいて、平成13年度には、国立環境研究所等の中央省庁の外郭研究機関が独行法化、平成14年度からは、「学術体制の見直し」というような科研費研究系の区切り見直し、そして早ければ平成16年度には、国立学校(大学・高専等)の独行法化(目標年度)という流れの中で、研究と教育の在り方、教育力と「学生の生きる力」の在り方が、具体的に問われて来ている。
 しかし、国立大では、教授会等の議論を聞いていると、「誰かがどうにかしてくれるだろう」「黙っておこう」というぬるま湯を思い込んでいる向きも結構おられる。そして、外圧的にどんどん枠組みが填められてしまってきているのである。小生は、この2-3年、ある工業系私学の「生き残り(長期)経営戦略」としての環境学部設立に参与する機会があって、そこの大学の新設学部のカリキュラムの組み立てに、これまでの30年近い国立大学での教育歴からの総括的知見を申し上げる機会を得た。そして、いかに自分がぬるま湯(研究費も給与も「賦存のもの」)に浸り切っていたかも感得した。
 小生の国立大学(文部科学)教官としての任期はあと3年であるが、広島大のような動きがどう経済学教育の分野で議論されていくのかを、これまでの大会ごとのテーマの進捗と重ね合わせながら考えてみたいと思っている。